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長崎尚志、石川俊樹インタビュー|美術手帖




美術手帖2016年2月号 特集「浦沢直樹」
以下の取材とテキストを担当しました。



関係者に聞く01|長崎尚志 編集者とマンガ家 「共犯関係」の33年間

長崎さんは、浦沢さんのデビュー当時から編集者として協働し、『BILLY BAT』のストーリー共同制作者でもある方。出会いから現在まで、また『PLUTO』以前に挑戦したいと思っていた手塚作品のお話なども。なおタイトルにもある「共犯関係」は、これまで両者の関係を評した言葉のなかで最も印象的だったもの=編集家・竹熊健太郎さんによる「共犯者」を引用させて頂きました。
撮影は石橋謙太郎さん。



関係者に聞く02|石川俊樹 ヒット作を生んだスタジオでの日々

石川さんは『YAWARA!』『MASTERキートン』連載時にアシスタントを務め、今は浦沢・長崎両氏と共に名古屋造形大学でマンガを教えている方。当時の様子をひとコマ漫画で描きおろしもしてくださいました。浦沢さんの姿を正面からでなく「背中」で描いているのが素敵だなと思った次第です。

それぞれのお立場から、浦沢さんとの仕事について語って頂きました。


なお、この特集は世田谷文学館の『浦沢直樹展 描いて描いて描きまくる』にあわせて企画されました。同展内覧会での浦沢さん挨拶が、そういうこともあるのだなと興味深かったので簡単にご紹介します(上掲誌のご本人インタビュー[聞き手は南信長さん]でも少し語られています)。

・展覧会のきっかけは、同館の「地上最大の手塚治虫」展(2012)を見たこと。
・放送作家の倉本美津留さんに「観なアカン」と勧められ、最終日に駆込み。
・しかし車が館の直前、芦花公園前の踏切でつかまり、迫る閉館時間…
・やむをえず最終手段、電話で「漫画家の浦沢直樹と申します…」と相談。
・着いたら館職員が入口に並んでお出迎えの「いやな感じ(苦手な感じ?)」な展開に。
・しかしおかげでぶじ充実の鑑賞体験。
・帰りに「3年後の(展示)予定空いてますので…」と展覧会を打診される。

もし踏切スルーできて、浦沢さんが誰とも言葉を交わさずただ鑑賞してたら実現しなかったのかな、館の方もここぞと相談持ちかけるのは仕事師だな、などなど感じました。

代表作群の原画を単行本1巻ぶんまるごと展示というアイデアは、大友克洋さんからマンガの展覧会について「マンガは絵の連なりだから、額に入れて飾るものではないよね」と言われたのが発想源だそうです。結果、約1000枚もの原画が展示されることに(トラフ建築設計事務所が会場構成に関わった模様)。しかし通算では約3万枚描いてるので「今後も“小出し”にすればまた…」と来場者の笑いを誘っていました。

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