トッド・ソロンズ インタビュー|Dazed Japan 📄

映画『おわらない物語 アビバの場合』より

CUT & WRAPPED:『おわらない物語 アビバの場合』
『Dazed & Confused Japan』(38)掲載(2005/05)



『ウェルカム・ドールハウス』『ハピネス』『ストーリーテリング』など異色作を世に送り続ける米監督トッド・ソロンズ。最新作『おわらない物語—アビバの場合』は、ファンタジックな語り口を採用しつつも世の「良識派」からは色々言われそうな問題作。しかし、トッドにとって重要な作品であることは間違いなく、飛行機嫌いだという彼もこの映画のために来日を果たした。


− 新作『おわらない物語—アビバの場合』は、やはりあなたの作品『ウェルカム・ドールハウス』で主人公を務めたドーン・ウィーナーのお葬式、というショッキングな場面から始まるわけですが、両作品におけるつながりとは?

僕は両者はまったく別モノと考えていて、その違いをはっきりさせるためにこのシーンがあるとも言える。いじめられっ子のドーンは妊娠して、自分の分身が生まれる事に耐えられず自殺してしまうんだけど、逆にアビバは「子供が大勢できればそれだけ多くの人を愛せる」という考えの持主なんだ。

− 今回もう1つ驚かされるのは、主人公のアビバ役を演じる役者が、次々と変わっていくことです。年齢も人種も異なる8人に同一人物を演じさせたのは、どんな狙いがあったのでしょう? 後で知ったのですが、男性も1人混ざっています! 告白すると、その少年が演じたアビバが一番魅力的だったので、男だと聞いて少なからず驚きました……。

その告白は、君だけじゃなく多くの男性から聞いたのでご心配なく(笑)。多様な役者に1人のキャラクターを演じさせたのは、この映画のテーマの1つでもある「変化」対「静止」に関係している。これは映画の原題『Palindromes』の通り(註:palindromes=回文。前から読んでも後ろから読んでも同じ文のこと)、常に自分自身に向かっていく関係性とも言える。人間にもそんな面があるよね。

アビバの場合、何があっても彼女の無垢な精神は変わらないんだ。一方で8人のアビバの特徴は、そのときの彼女と周囲の関係性を表しているようなところもある。ガリバーみたいに大きかったり、12歳にしてはだいぶ年をとっていたりといった具合に。

それと、この「変化」対「静止」については、アビバの従兄弟のマーク・ウィナーが後半で語る言葉が、とても重要なものだと思う。運命論とも少し違うんだけど、人は変わらない、あるいは変われないというのは僕の考えにも近い。

— おとぎ話のような展開の一方、妊娠中絶の合法化問題が描かれたりしますね。あなたの映画にはいつも、社会的には蓋をしておきたい部分をあけすけに提示する印象もあります。

偉そうにお説教したり、あざとくセンセーショナルに見せるつもりはないんだ。それに僕の映画の中には、新聞、テレビ、ラジオで語られていないことは一切ないんじゃないかな。でもタブーをタブーたらしめるものは何かというのはすごく重要で、その考察によって、人間とはどういうものかを考えたり、先入観や因習みたいなものを見つめ直せればと思っている。もし1つお願いできるとしたら、とにかくオープンな気持ちで観てくれればということかな……。オープンといっても、虚ろな心ではなくてね(笑)。

— 最後に、あなたが映画の道へと進んだきっかけは?

他にもいろいろ努力したんだけど、全部失敗した結果かな(笑)。ミュージシャンを目指したけど才能がないことに気づいた。大学時代に戯曲をたくさん書いたんだけど、ひとつも上演には至らなかった。写真も大好きなんだけど、カメラに触るのは苦手なんだ。それで、大学卒業後に映画学校に行ってみた。きっかけは、ある晩TVでUCLAの学生が作った卒業制作の映画を観ていたときのこと。これから映画の世界でキャリアを積もうという若者たちの作品をいくつも放映していたのだけど……どれもこれも最悪だったんだ!(笑)

それで、果たして彼らよりいい映画を作れる能力は僕にあるだろうか、と思って学校にいってみることにした。幸いそこで撮った短編がみんなにすごく気に入ってもらえて、励まされると人間、やる気になるものだからね。もう少し究極的に言えば、僕が映画を撮るのは生き延びていくためで、人として屈辱を受けずに生きていきたいという理由からだろうね。

おわらない物語-アビバの場合-
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